テレビ

(2003.05.23)

   私は,いわゆる「テレビっ子」という言葉がはじめて使われた世代である (と同時に,「ながら族」とか「新人類」という言葉もはじめて使われた 世代である)。今でも,とにかくテレビがついていないと何となく落ち着 かない。
   ちょうど,今の子どもたちが,パソコンが身の回りにあるのが自然なように, 私たちの世代がもの心ついた頃というのは,おりしも,高度成長経済が始まった 時期であり,テレビジョンの本格放送(1953年,NHK)もすでに軌道に乗り, カラー放送(1957年,NHKとNTVが実験放送開始)が本格化し始めた頃であった。
   わが家にテレビが登場したのは, 事業を始めたばかりで新しいもの好きの父親のおかげで, 近所でも割に早い時期であったように思う。 当時は,貴重品・贅沢品の扱いを受けていたためであろうか, かすかながら,テレビに仰々しい観音開きの扉がついていたのを覚えていたりする。
   そういえば,今年(2003年)はテレビ放送開始50周年。 この間,放送局の数も増え,番組も(数だけは)増えた。 現在のわが家では,ケーブルテレビに加入しているので,地上波はもとより さまざまな番組を見ることができる。
   中には,見るにたえない番組もあるのだが,ドラマなどは昔のものの方が 概して(技術的なことはともかく)デキがよいことが多い。 アニメにいたっては,複雑な設定など,果たして子どもたちが (そのことの面白さ・奥深さを)どこまで理解しているのか疑わしく思える。 マンネリ化の打開・新規性の追求,といった作る側の論理・価値観が 表に出すぎている,と感じるのは私だけであろうか?
   自分では記憶が無いが, 漢字の読み方はテレビのニュースなどで覚えたようであるから, 一日中テレビの前から離れずにいたのだろう (ついでながら,最近のニュースのテロップには誤字が目立つ。 おそらくリアルタイムに入力していたりするためなのだろうが, マスメディアだからこそ,厳格に言葉を使って欲しいモンダ)。 そう言えば,「日曜大工110番」という番組もお気に入りのひとつであったから, 雑学的な知識のほとんどはテレビで仕入れたものが多いように思う。
   数年後には地上波も全面ディジタル化されるそうであるから, 今のテレビ放送のあり方・内容も変化していくことだろうが, 世の中複雑になったとしても,その複雑さに新しい世代である 子どもたちが振り回されることのないように, 単純なことや人としての基本・身の回りの世界も大事なのだと教えてくれる番組が 消えないことを願うばかりである。